【2008年11月23日(土)】
【法隆寺宝物館】
スリランカ展の前に法隆寺宝物館に寄った。1階の展示室は常設展なので、気に入っている仏像を何点か見た後に2階に上がって、何か変わったものはないかと観に行く。
【聖徳太子絵伝】
すると、奥の展示室の壁面に国宝「聖徳太子絵伝」が1組2面で5組10面の大きな絵が掲げられていた。1069年に秦 致貞(ハタ チテイ)による綾本著色で、聖徳太子の信仰と政務の場面が全部で50以上も描かれている。
以前に天寿国繍帳が来た時にも展示されていたが、改めて観ると圧巻である。琳派展には来なかったが、こういう襖絵なら観たいと思う。
【十七条憲法】
第6面には十七条憲法を制定する場面が描かれていた。このほかにも、誕生、戴冠、四天王寺建立、法隆寺建立などを始めとしてエピソードが描かれている。一部に剥落があるものの、太子に対する信仰の跡が伺われるものである。この絵は元々は法隆寺の夢殿がある東院の絵殿にあったという。
また、飛鳥時代の繍仏の一部などをはじめ飛鳥・奈良時代の手の込んだ刺繍や布の一部が展示されていた。
やはり、法隆寺に伝わってきた寺宝には、正倉院の御物と同じように歴史的な貴重な文物が多く、その精巧な作品と保存・伝来に感心せざるを得ない。
【本館】
スリランカ展の後に本館1階の入ってすぐ右の彫刻展示室を観る。鎌倉期の「文殊菩薩騎獅像および侍者立像」が彩色、截金を見事に残して展示されていた。作者の康円は運慶の次男の子供で運慶の孫になる。興福寺伝来とあるように慶派の一員として興福寺の復興に当たったようだ。
またこの部屋には浄瑠璃寺の国宝広目天が、隣の部屋には快慶作のような端整な顔立ちで宝冠や瓔珞の細工が精細な善円作と伝わる「菩薩立像」が目を惹いた。
最後に地下のミュージアム・ショップに立ち寄る。改装されて、デパートの宝飾売り場のようになったショップには多くの人が沢山のお土産を買っていたのにも驚いた。興福寺の国宝館に行く度に欲しいと思っていた「興福寺国宝展」の分厚い図録を購入した。