【2008年3月16日(日)】
年に4回企画展が開かれる戸栗美術館に行く。DMで送られて来る企画展の案内チラシを冷蔵庫ヨコに貼っているので、開催期間がもうすぐ終わるなと気になっていた。
そして、今朝、郵便ポスト内に新聞回収袋が入っていて、そこに折り込まれていたリーフレットに戸栗美術館が紹介されていた。「いい仕事してますね!」の中島誠之助氏の娘さんが戸栗美術館の学芸員で、初心者向けに骨董を解説して記事だった。
ということも手伝って外出してみることになった。ところが、午後3時過ぎに出かけると、美術館は今まで経験したことがないほど来館者であった。と言っても、ゆっくりと誰にも邪魔されずに見るには十分過ぎるほどではある。が、数少ないコインロッカーは満杯、休憩椅子も満席といった具合で、これは、今朝方の記事の効果かも知れないと勘繰らざるを得なかった。
今回は「鍋島-至宝の磁器・創出された美-」と題しての開館20周年記念特別展であった。「幕府へ献上することを一番の目的として、藩の威信をかけて創り出されたこの上ない宝物」と解説にあるように、当時のプレミアム作品であったものだ。
確かに最高度の技術と感性をもってして生まれたクオリティの高い「作品」であることがうかがえた。丹念としか言いようがない細部にまでの気の使いようには溜息が出るほどでもあった。また、現代的とも思える意匠にも驚く。そのデザイナーの指示書(デザイン設計画)が藩の家宝であったことも頷けた。
いつもは見終わった後に、あ~っ欲しいなぁと思うものが数点、必ずある。今回は、お殿様仕様というか、一般の庶民が使う器ではないだけに、自宅で使える感覚で選ぶと敷居が高く、「これ!」といった個人趣味レベルでの逸品は少なかった。手が届かないというよりも、趣味の違いである。(決して負け惜しみではない。)
美術館の隣にある観世能楽堂にはまだ梅の花が残っていた。道の両側の木蓮は蕾でもうじき開花しそうだ。