【2008年2月9日(土)】京の冬の旅Vol.5
すっかり雪景色になってきたが、思いのほかバスの速度は落ちずに進み、泉涌寺道で降りる。
が、歩くのには不自由で、わずかだが積もった雪を踏みしめるように注意して泉涌寺の総門前の即成院に辿りつく。
昨年10月に訪問した時にも人気は少なかったが、雪の今日は尚更だ。今回の旅行で妻が拝観を希望した建仁寺(年末に何度か訪問しようとしたが年末のため拝観できずにいたところ、息子が先に訪れ、10月に自分も一人で訪問したので)へ行く途中に、ここ即成院の阿弥陀如来と25菩薩を是非とも妻に紹介しようと思い、立ち寄ることになった。
本堂手前の境内には雪が積もり始めている。そんな中、お堂の階段下には靴が2-3足既に置かれている。小学生ぐらいの子供と母親が帰りかけているところだった。この寺の裏手には那須与一の墓があり「願いが的へ」ということで、受験祈願のお寺でもあるので、そのために来られたのだろうか。親子が帰るのと入れ替わりに本堂に上がる。
昨年10月に拝観した際には、老ご住職に案内していただいたが、今回は美しい女性(おそらく住職の奥さんと思われる)が受付に座わられている。内陣の特別拝観とご朱印をお願いすると、即座に内陣に案内して頂き、丁寧に解説をして頂いた。
丈六の阿弥陀如来は、平等院の阿弥陀如来を造った仏師、定朝の作と近年は言われてきたということだ。そのご本尊の手前両脇には大和坐りの大勢至菩薩と観音菩薩が安置されていて、更に両側には横に三列、階段上に四段、計12体、左右で合計24体の菩薩が並んでいるので、全部で菩薩は26体になる。25菩薩ではない1体が左下の如意輪観音だと言う。打ち揃って来迎の様を表わしている。何体かの菩薩は様々な楽器を手にして、さぞかし賑やかにやってくるのだろう。
これらの仏像は、すべて寄木造で、表面は漆を塗って金箔を施し、切金、彩色されている。更に内刳の内側にも金箔がされているということには驚いた。
今日は全ての仏像が揃っているが、観音菩薩と獅子吼菩薩は人気があって出張されることが多いという。
昨年10月にも拝観させて頂いたことを告げ、その時は丁度お練り供養法要の前だったので、その時に使用されるお面や衣装が、座敷に並んでいて、境内に廊下が作られていたと話すと、そのお面や寺宝が別室に展示されているので、そちらもご覧くださいと言われる。
また、本堂の護摩壇上の天蓋にもみごとな天女が描かれている。
奥さんの説明に耳を傾けていると、極楽浄土に導いてくれそうな感じさえしてきた。
拝観後は、境内に先ほどよりも雪が降り積もって来ていた。