【2007年12月9日(日)】Vol.2
銀座線の三越前駅付近は最近大きく様変わりしている。神田、日本橋、大手町のちょうど中間点でこれまでシンボルの三越本店や日本銀行に加えて、マンダリンオリエンタルホテルが進出して新たなランドマークとなった。バンコックのオリエンタルや香港のマンダリンオリエンタルは利用してそのホスピタリティのよさが気に入っているので、東京のマンダリンも気にかかっていた。
ホテルエントランスから専用のエレベーターで最上階の38階に行き、オリエンタルラウンジで一休みする。
デコレーションも調度類も器も眺望も紅茶の香り・味もホスピタリティーも納得と満足がいくものだった。
「美の求道者 安宅英一の眼 ― 安宅コレクション」
日本橋三井タワーの1階に三井記念美術館へのエントランスがあり、専用エレベーターで本館7階に上がる。Webには会期がまもなく終了するので混雑しているとの情報が載っていたが、17時過ぎにはその混雑も一段落した感じだったので、ゆっくりと鑑賞することが出来た。
安宅産業と言えば破綻した商社のイメージが強いが、創業者2代目の英一氏が蒐集したコレクション1,000点ほどが破綻後の散逸を免れて住友グループから大阪市立東洋陶磁美術館に寄付されたということを初めて知った。
この安宅コレクションは、英一氏が選りすぐった中国・韓国の名品・逸品で、今回はそのうち国宝2点、重文11点を含む126点が展示されている。
中島誠之助コレクションとは対照的な、鑑賞用としての美術品のコレクションであり、道楽にしては莫大な費用を投じて集めたものであろう。が、展覧会のタイトルにあるように、コレクターの眼によって集められたことで、これらの美術品はこのように体系的に鑑賞出来る。また、その鑑識眼はやはり極めて優れていると言えよう。
国宝「飛青磁花生」は観ているだけでただただ圧倒される美しさである。何しろ美しい。その形、色、模様、発色、光沢、溜息が出るばかりである。
国宝「油滴天目」は黒釉の表面に細かく小さな多くの斑点が水面に広がる油の滴のように付けられているが、その色や表情が非常に奥深い広がりを持っていて、観ているうちにその中に飲み込まれてしまう様な錯覚に陥ってしまう。
館内には静かに鑑賞くださいといった案内があったが、やはり声高に話し他人の迷惑を全く顧みない不道徳な輩がいて、不快だった。ごく一部の人間によって鑑賞の邪魔をされるのには堪らない。館内にいる係員も注意しないのも不届きであると思う。展覧会は作品だけでなく、鑑賞のための環境を保全することにも質が問われて当然だと思う。