【2007年11月4日(日)】
早稲田大学エクステンションセンターの仏像鑑賞講座の第4回目。天気が好いこともあり、高田馬場から早稲田のエクステンションセンターまで歩いて行く。
西早稲田から大学構内を通り抜けるが、今日は「WASEDA-SAI」のためいつのも日曜とは違い学生が重要文化財に指定された大隈講堂前とキャンパス内に10時前から詰めかけていた。
その後、六本木のミッドタウン内にあるサントリー美術館へ。大江戸線の駅からミッドタウンに入ると、キャンバスとは違うもののこちらも大混雑状態だ。
【サントリー美術館】
サントリー美術館は赤坂からこちらに引っ越して来たので、その開館記念特別展の「鳥獣戯画がやってきた!-国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌」と題した展覧会を見る。
小学校の頃から教科書でお馴染みの鳥獣戯画は、京都栂ノ尾の高山寺所蔵の国宝ということは十分知っていたが、実物を見るのは初めてだ。高山寺にはガラスケースに模造品の一部が展示されている程度で、実際はどこかに仕舞われているのだろう。
今日はその本物を見るのが目的だ。
一口に鳥獣戯画と言っても、実は甲・乙・丙・丁の4巻から成っていて、甲乙丙の3巻は平安時代の作だが、丁巻は鎌倉時代であり、また各巻とも題材も作風も異なっているということを初めて知った。実物は保存の状態は非常によく、繊細だが一気に書き上げている筆使いや表装や紙の質も見て取れた。
一番親しみのあるのは甲巻で、猿や兎や蛙がユーモラスに筆の線画で描かれているものだ。動物たちはみな動きが巧みで表情豊かに描かれている。作者不明だということだが、その力量はいずれにしても大したものだと感心させられた。
これまで知っていたのは主に甲巻であって、それは鳥獣戯画全体のほんの一部にしか過ぎなかったということだけでも展覧会に来た甲斐があった。また、展示物の中にはその後の模作品もあり、この作品の影響が大きかったことが窺えたのも収穫の一つだった。
館内はゆとりがあり設備も充実しているし、展示品は高さも照明も見やすくなっていて、館内も混んでおらずよかった。ただ、前期と後期に分けて展示することは如何なものかと思ってしまう。