【2007年10月13日(土)】Vol.9
鬱蒼とした緑の緩やかな坂を登っていくと泉涌寺の大門が現れる。
先ほど拝観した即成院のところで見たのが総門なので、塔頭を含む泉涌寺境内全体の大きさに驚く。即成院の住職が泉涌寺は真言宗と教えてくれた。ここは真言宗泉涌寺派総本山である。
【総門】
【大門(重文)&仏殿(重文)】
大門の先には緩やかで白く広い下り坂が拡がり、眼下に荘厳な仏殿が見える。この緩やかな下り坂の向こうに本堂があるという伽藍配置は中々他に例を見ず珍しい。それゆえに泉涌寺イコールこの景観という結びつきを強くしている。
左右の森林の緑と敷き詰められた白砂利のコントラストも美しいが、仏殿の大きな瓦屋根の反りがはっきりとしているのが妙味でもある。
【楊貴妃観音堂】
数年前に来たときにはこんな立派なお堂だったろうか?大門の左奥には楊貴妃観音堂がある。
言わずと知れた唐の玄宗皇帝の妃で絶世の美女とうたわれた楊貴妃を偲んで彫らせたという等身大の坐像が祀られている。堂内には多くの女性が詰めかけて、係りの方の説明を熱心に聞いていた。堂内での物販?魂も逞しかった。
【三尊仏】
仏殿はもこしが付いた入母屋の瓦屋根で、禅寺風の窓や奇麗な肘木などで構成されていて全体に荘厳で美しい。
拝観者向けに呼び込みの声を掛けている係りの方がいるのは不思議だ。中に入ると天井には龍が描かれ、簡素な堂内の奥に三体の仏像が祀られている。
解説書きに、釈迦、阿弥陀、弥勒の三如来とある。三体とも同じお姿なのでどれがどれなのかよく分からない。まぁ真ん中が釈迦であろうが、阿弥陀と弥勒の区別がつかないので、拝観の後に、先ほどの係りの方に聞いてみた。すると、「左から阿弥陀如来、釈迦如来、弥勒菩薩」と言われ、過去、現在、未来の順に並んでいると解説してくれた。
そして、「どれも同じ大きさで造られていて、三体全てが本尊です」と強調され、御礼を言うと、「よいお参りでした」と褒めていただいた。
三如来と言いながら、弥勒菩薩はないだろう、言うなら釈迦入滅後56億7千万年後に兜率天から下生した弥勒如来なんではないかと思ったが、褒められたので、そのままにしてきた。
【御座所庭園】
江戸時代歴代の天皇皇后の葬儀を執り行っていたということもあり、現在も泉涌寺は皇室と結びつきが強い。御座所内の庭園は少し紅葉していた。