【2007年8月9日(木)】
天王洲シーフォートスクエアの銀河劇場で「錦繍」の観劇に招待いただいたので観て来た。
銀河劇場は初めてだし、このような演劇を観るのもかなり久しぶりなのだが、原作も演出も俳優も、何一つ予備知識なしで、というよりも知らずに観に行ってしまった。
だが、はっきり言って「マイッタ!」
【銀河劇場】
ホリプロ経営による劇場をなって1周年という。
演劇は昨今マチネのほうが多いらしい。昼間に観劇に行ける熟年層が多いからだという。
【錦繍】
マイッタ!のは原作の持つ力でもあり、演出でもあり、役者でもあり、音楽でもある。
宮本輝の原作は読んだことがなかったので、この機会に是非読んでみたい。
プログラムに寄稿している俵万智は「繰り返し読んだ小説NO.1」と書いている。
「前略、蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。」で始まる別れた男女の往復書簡の形式を取る作品は、「業」という人間の持つ宿命の根幹を捉えようとしている。
ジョン・ケアードの脚本/演出は、舞台という限られた空間を不思議なくらいにイメージできる無限の世界に変えている。
体が震えるほどに切なく響く藤原道山の尺八、きっと「業」を感得していたに違いないモーツァルトのレクイエムなどの音楽効果が作品を支える。
「生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じかもしれない・・・」と、最終的には生きることへの積極的な姿勢、「生」への執着、宿命という「業」に立ち向かう人間の姿を演じるキャストには、鹿賀丈史、余貴美子の主役にベテランが脇を固める。
彼らの名演もさることながら、何と言っても妖艶な瀬尾由加子役を演じた馬渕英俚可にはマイッタ!