【2007年5月3日(木・祝)】
相当な混雑であることは十分分かっていたが、ジムの帰りに歩いて行けるならと思い、16時過ぎに今話題の「東京ミッドタウン」に向かう。六本木交差点辺りからの人ごみはすごい。
ミッドタウンの正面近くを左に入り星条旗通り方面へ、通りを渡ると「国立新美術館」だ。
案の定多くの人が来訪している。美術館というよりもトレンドスポット、名所と言ったほうがいいかも知れない。それも老若男女のスポットだ。
【国立新美術館】
外観はカーヴのある美しい建造物だ。佐藤可士和氏制作のロゴもカッコイイ。新緑と躑躅が実に鮮やかだ。
【大回顧展モネ】
印象派なかでもモネやルノアールは日本人が飛びつく、からなのだろう。やはり人気の作家をオープニングを記念する企画展に持ってこないのでは多くの美術愛好家から非難を浴びるのは必死とのことで、企画されたと思われる。
所蔵作品を持たない美術館の特色とは企画に尽きるのである。美術館とは美術鑑賞の場であって、決してハコではない。そういう観点からこの企画展が成功か好きかは意見が分かれるだろう。
収益面で見れば成功であり、多くのモネ愛好家(あるいは知っている程度の人も含め)にとっては世界各地から多数の作品が来たということで好きな作品に触れられた喜びは大きいであろう。
アミューズメント複合施設かと思ってしまうほどに喫茶スペースも十分にあり、鑑賞後一息つくには恰好だ。
しかし、一体目玉となる作品はどれなのか?物量で勝負するためにハコを造ったというわけではなかろう。
展示スペースの順路にしても、否順路を設ける展示ではないことを目指しているのなら尚更だが、導線確保による快適な鑑賞よりも入場者数目標達成度なのか、展示内容の企画だけでなく全体の企画設計自体がハコモノ得意の官立らしい感じが否めない。
【異邦人たちのパリ】
「ポンピドー・センター所蔵作品展」とあるが、一体何点がそうなのか?
それは兎も角として、こちらの企画展のほうが楽しかった。
ピカソやシャガール、フジタ、ジャコメッティなどの作品は特徴が分かりやすかった。やはりピカソは天才だと思ってしまう。
それよりも一番驚いたのはマン・レイ、田原桂一、ブラッサイ、ケルテス、イジス、ヨーンソンなどのモノクロプリントの数々とフロイントのプリントだ。
アンドレ・ジッド、ジャン=ポール・サルトル、ジェイムズ・ジョイス、アンドレ・マルローなどの文化人のポートレートは苦悩や思索が表情に表れていて人物の人柄を彷彿させる秀作だった。
特に若き日のサルトルを撮った写真を今まで見たことがなかったので実に新鮮だった。
帰路は人ごみを避けて乃木坂に向かった。駅直結とは言っても駅舎とは屋外で結ばれている。