【2007年1月8日(祝)】
成人の日。来年は息子が成人だという。あまりにも実感がないので戸惑うことさえない。時期が来れば何か準備したりするのかもしれない。
成人式帰りの振袖姿をちらほら見かけながら、渋谷松涛の戸栗美術館に向かった。
「古九谷~謎を秘めた躍動美~」という特別展へ。
これまでの乏しい知識は、古九谷は石川のいわゆる九谷焼とは違い伊万里焼の系統だということくらいで、イメージするのは緑や黄、紫などを使った大胆な絵柄と色調。
【案内ハガキ】
展覧会前には必ず案内状を頂く。
案内ハガキには「色絵 葡萄鳥文 輪花皿 伊万里(古九谷様式) 江戸時代(17世紀中葉)」がビジュアルに使われているが、これも緑、黄、青、赤などの印象強い色彩の配色だ。
黒バックなので非常に目に付く。
【戸栗美術館】
観世能楽堂の近く、閑静な松涛の住宅街にある。
何度か足を運んでいるが、写真的には撮るところがない。
が、展示品はいつも充実していると共に、学芸員の手による各作品の解説が詳細なので時間が経つのを忘れるほど長い時間滞在することになる。
展示室は2階に3室。他に鍋島焼の製作過程の見本が展示されている。これを見ると陶芸の奥の深さが分かる。
さて、第1室に入って展示作品を見回したところ、イメージにある大胆な絵柄で彩色豊かな古九谷だけではなく、藍染などの古伊万里様式がある。おや?と思い、そこで受付でもらった解説リーフレットを読む。
いわゆる伊万里焼は染付の磁器だが、1640年代に色絵技術が導入され、色彩豊かな色絵磁器が生まれ、この古九谷様式は1640年~50年代に製作されたものを指すのだという。
更に、この様式は多様で、「五彩手」、黄と緑の「青手」、幾何学模様の「祥瑞手」、「藍九谷」などがあるという。
また、この古九谷様式というのは、17世紀の伊万里焼における諸様式の一つであり、
<初期伊万里>→<古九谷様式>→<柿右衛門様式>→<古伊万里金襴手>と続くということで、柿色を出した柿右衛門より以前の様式であるということも書かれている。
今回もじっくりと見せてもらって、いくつかため息が出る欲しい作品があった。
4月からは開館20周年記念の名品展がⅠ・Ⅱと続いて企画されているので、期待している。