【2014年3月29日(土)】
ひょんなことから知った、東京芸術大学美術館での「観音の里の祈りとくらし展-びわ湖・長浜のホトケたち-」。
門外不出の観音さんたちが、18体も東京にやって来られた。
これまで2度琵琶湖の北部地方である湖北の観音巡りをしたことがある。
お寺で祀られている仏像はわずかで、ほとんどがその土地の祠に安置されて村人たちに静かに守られてきた。
戦禍でも里人が川に沈めたり、土に埋めたりして大切に守ってきたため、中には完全なお姿でない仏像も多い。が、それでも信仰の篤さが勝って今にいたっている。
千年以上にも亘って守られ続けてきた仏像は、里人たちの宝物でもあり、日常生活に欠かせない存在でもあると思う。
【赤後寺:千手観音立像(重要文化財)】
現地で拝観したことがある仏像。
脇手が何本も途中で欠損しているものの、9世紀から脈々と慈悲深い尊顔は変わらないのだろう。
東京でこれらの観音さまを拝観出来るのはラッキーなことだが、その間、里人たちは寂しいのだろう。
こちらから出向いて、拝ませてもらうのが、やはり本来の姿かも知れず、少し心苦しい気もした。
14時からのギャラリートークでは、秀平文忠さん(長浜市文化財保護センター 学芸員)の解説で、より一層里人たちの暮らしと不可分で、地域の営みの中心にあると、感じた。