【2012年2月12日(日)】(東京古寺探訪#33)「江戸五色不動」
江戸五色不動を巡るため、今日は目黒へ。正式には天台宗「泰叡山 瀧泉寺」と言うが、目黒不動のほうが通りやすいだろう。
五百羅漢寺から数分で、仁王門の横に着く。
この日は大本堂で護摩祈願が行われる。祈願者でなくとも堂内に入れるということを受付で確認して、本堂へ向かう。
開基は808年、慈覚大師・円仁が、この地で悪夢を見た際に、その恐ろしい形相をした尊容を黙想し自ら彫刻したと伝えられている。(秘仏で、12年に1度酉年に開帳される。)
その後、大師は唐の長安の青竜寺の不動明王を拝し、夢見の人神がこの明王と分かり、帰朝後に堂宇を建てる。
15時から始まる護摩の少し前に本堂へ。いつの間にか多くの人々が詰めかけて来ていた。
堂内の護摩壇上には、変形の八角天蓋、左右に瓔珞、吊り燈籠が美しく吊るされている。
中央に厨子、その前に60cm程度のお前立ちの不動明王、左右には彩色の脇侍が控え、厨子左右の壁には向かい合って両界曼荼羅が飾られている。それらを取り囲むように朱塗りの低い欄干が立てられている。
堂内に入ると、中央は護摩札申込者席となっており、左右はお札を申し込まずとも座れるようになっている。
15時には100名ほどの老若男女が檀に向かっていた。
お前立ちの不動明王は、剣を持つ右手の肘が鋭角に曲がっているのが特徴的か。
リンの音、太鼓の音、鐘が打ち鳴らされた後、紫色の袈裟を纏った導師が入堂し、護摩壇の前に座る。
導師が使う法具の音、数珠の摺り音、そして、普門品のお経が唱えられる。太鼓のリズムが響き、次第にお経も佳境に入って行くと、護摩が焚かれ、護摩木が入れられると、煙が立ち上り、それが天蓋の中に吸い込まれるように入っていく。
護摩壇からは炎があがり、火の粉がパチパチと鳴り、パーカッション奏者のように大太鼓を叩く僧の動きが激しくなる。
般若心経のお唱えが始まると、自分も声を出してお唱えする。
その間、お札が護摩の火にかざされ、右から左へと渡されていく。
最後に、導師が檀から降り、こちらを向いて、洒水加持が行われ、「合掌してお受け下さい」と案内される。
導師が右手奥に下がると、護摩の火が正面の檀に移され、「どうぞ、2列に並ばれて、お参り下さい」と言われる。
正面には大きななで独鈷が置かれていたので、護摩の煙を身体にかけ、独鈷を触り、合掌して参拝する。
祈祷が終わると、それまでは入れなかった左右の間に入れるようになる。左の間には右向きの象に乗る普賢菩薩や愛染明王、右の間には左を向く獅子に乗る文殊菩薩や虚空蔵菩薩が安置されており、その前で熱心に拝む人たちがいつまでもいた。
本堂裏手には、総高385cm、座高281.5cmの1683年作の銅造の大日如来が、金色の二重円光背を背負い、高く金色に輝く宝冠を冠り、うつむき加減に瞑想している。
興奮止まぬ護摩祈祷の後に、少し心を落ち着かせて参拝をした。