【2012年2月12日(日)】(東京古寺探訪#31)
江戸五色不動は、残すところ「目黒不動」と「永久寺」の2ヶ寺。この日は目黒不動でお護摩が15時からあるというので、目黒へ。
大円寺、五百羅漢寺、瀧泉寺(目黒不動)は以前も訪問したことがあるが、久しぶり。
目黒駅から目黒雅叙園方面の急勾配の行人坂を下って行く途中左手に、天台宗の「松林山 大圓寺」がある。
江戸の三大火事(1.行人坂の大火、2.振袖火事、3.車坂の大火)の一つである1772年にこの寺から出火した「行人坂の大火」と呼ばれる火事は、3日3晩にわたり、江戸の街の約三分の一を焼き尽くしたという。
開基は17世紀前半だが、その火事の犠牲者供養のために、釈迦三尊や五百羅漢像などが建立された。
山門を入ってすぐ左手に「大円寺石仏群」である五百羅漢像の石仏群がずらりと並んでいる。
その奥には釈迦堂。清涼寺式の1193年作のお釈迦様とのことだが、秘仏のため扉は閉まっている。
正面の本堂の左右には「開運出世 大黒天」の幟旗が翻る。
堂内は護摩壇の向こうに厨子入りの三面大黒天が本尊として祀られ、更にその上には痩身の一木造りの十一面観音が安置されている。
狭い境内ではあるが、所狭しと、お堂や石仏などが並んでいる。
金箔を貼る薬師如来坐像の石仏。
本堂の右には阿弥陀堂があり、堂内には阿弥陀三尊像が安置されている。
中尊の阿弥陀如来坐像は、目から上が見えないが、来迎印を結び、左脚を半跏にし垂下している。
また、脇侍の勢至菩薩、観音菩薩共に外側の膝を立て膝にし、わずかに中尊のほうを向いている。
八百屋お七と吉三の物語を描いた石碑や、六地蔵、観音菩薩、鐘楼、道祖神が並ぶ。
そして、門の右脇には庚申塔が三基並んでいる。
行人坂の大火は盗賊の放火と言われているが、この寺で出火し、その犠牲者は、死者・行方不明者が約2万人にも及んだため、長い間再建を許されなかったというが、1841年に再建された。