【2011年6月5日(日)】
高幡不動の不動堂を後にして、そのすぐ裏手にある本日の目的地である奥殿に向かう。
受付で「大日如来さんは拝観できるのですよね」と確認すると、「2番目のお部屋になります」と言われた。この奥殿は、高幡不動の寺宝を展覧できるところである。第2室に入ると、ちょうどお坊さんが大日如来像の前の香炉に香を焚いているところだった。
ガラスケースの中に安置された金剛界大日如来は、平安中期の一木造り(頭身は欅、脚部は榧)、像高83.8cmと小柄で細身で、像全体は漆箔も剥がれ原木が洗いざらしになったように痛々しい感じすらする。が、しっかりと落ち着きのある尊顔で、閉じられた細い目が瞑想に耽っているようで威厳を感じる。
焼香の漂う中での拝観で一層霊験あらたかに感じられた。
その像の後ろに、平成19年から修理をした際の部材が展示されていた。この像は何回か大修理があり、今回の修理では当初の姿に戻されたという。
寺宝が展示されているいくつかの部屋を巡ると、巨大な不動明王が安置されているお堂に出る。
像高285.8cm、火炎光背も419.8cmと非常に大きく、日本一の不動三尊と伝えられている。向かって左に230.4cmの制多迦童子(せいたかどうじ)、右に左上を向く193.2cmの矜羯羅童子(こんがらどうじ)が控えている。
いずれの像も木造というが、黒光りしているせいか、ちょっと見は石仏のように感じられるほどの重量感がある。中尊の不動明王は、パンパンに張った顔に大きな鼻と凹凸のハッキリした眉根が特徴的で、何しろ堂々としている。
堂内は撮影禁止だが、奥殿の外からも拝観できるので、そこから尊顔は見えづらいが参拝できる。
ここで拝観した大日如来が本来祀られていた大日堂へ向かう。
堂内の外陣の広板敷24畳の天井部には竜が墨絵で描かれていて、その下で拍手すると、ビョーーーーンと張りつめた音が響くところから、鳴り竜と呼ばれている。
何度か手を打って試してみたが、日光の東照宮よりも鮮明な音が響いた。
内陣奥には、金箔が輝く智拳印の大日如来が安置されていた。
山内には紫陽花が植えられていて、これからの時期は見頃となるだろう。
新しく建立された大師堂では法要が営まれており、ちょっと近代的な面立ちの弘法大師様が安置されていた。
ご朱印をいただきに事務局に行くと、待っている間に、「どうぞお茶を」と言われ、お煎餅と一緒に供していただいた。(今までで初めての経験)
見どころ満載の高幡不動。10時15分過ぎには参詣者も多くなり始めていた。