【2011年5月28日(土)】
「六本木 竹やぶ」での昼蕎麦を終えて、六本木ヒルズの中を通って、六本木通りに出て左の六本木6丁目のバス停から都バスで2つ目の南青山7丁目で降りる。
富士フィルムのビルの裏にひっそりと「長谷寺」(ちょうこくじ)がある。
山門にも「大本山永平寺別院」とあるように、道元禅師が開基した福井の曹洞宗永平寺の東京別院である。
山門を入ってすぐ右手に、重層の大きな観音堂が建っている。中に入ると、高さ10mの木造としては国内最大級の十一面観音立像が安置、というよりも、どーんと立っておられる。
赤肌の素木でのようで、頭上の十一面観音が上へと連なりあっているせいもあり、お堂の高さに達するほど大きいく、光背もそれに従って勇壮である。
左手に蓮花水瓶、右手に錫状を持つ長谷寺式の観音様である。
江戸開府後に創建された2丈6尺の大観音1945年の戦火で焼失。その後1977年に3丈3尺のこの観音さまが建立されたという。
全体的な体躯は華奢ではないが、横から見ると、やや痩身か。
見上げなければならない尊顔は、現代的な、ちょっとサーファー入ってない?といった感じの面相と髪型ではあるが、実に穏やかである。
ご朱印をいただきに、大庫院へお邪魔すると、「麻布大観音」と書いていただいた。
「本堂は拝観できるのですか?」と尋ねると、「いつもは大丈夫なのですが、本日は仏前結婚式が行われておりますので」と言われる。「御本尊は?」「お釈迦様でございます」とのこと。
境内奥にある壮麗な大屋根の本堂内では、今まさに、結婚式が挙行されていた。仏前結婚を見るのは初めてだった。荘厳された堂内では、住職と思しき方が新郎新婦を前に、儀式を執り行っていた。
新婦は、どうやらどちらか(もちろん曹洞宗であろう)お寺のお嬢さんらしく、親族席に父上らしき僧侶と他にも何人かお坊さんがいらした。(もしかしたら、新郎は福井の名酒黒龍の跡取りかも、と夫婦で話していた。)
すると、三三九度が始まった。(あれは、きっと黒龍の最高峰である仁左衛門かも知れない、などと戯けたことを想像してしまった。)
ともかく、末長くお幸せに。
永平寺、行ってみたいが、いつのことになるやら。
ふと、高村薫の「太陽を曳く馬」に出てくる、(ちょっと場所は違うが)六本木桜坂上に設定されているお寺は、もしかしたら、このお寺も取材したのではなかろうかと漠然と感じた。