【2011年5月4日(水・祝)】湖北・湖南・奈良古刹巡礼の旅#17
JR奈良9:40発の桜井線で2つ目の帯解寺駅で降りる。
駅を出た所に帯解寺の大きな看板があり、道順はすぐに分かる。歩いて5分程度の近さである。
帯解寺は安産・求子祈願霊場として、古くから親しまれてきているお寺なので、狭い境内には多くの安産祈願や御礼参りの人たちがいる。
本堂に向かって右側に売店があり、お守りのほかに腹帯など出産用品が売られている。その窓口ではご祈願の申込も受け付けているので、行列が出来ているほどである。
その中で、拝観と図録、ご朱印をお願いする。
すると、本堂脇から「ご拝観の方、こちらへどうぞ」と声が掛った。
僧侶の方が堂内を案内してくれるらしいので、靴を脱いで、その後をついていく。
お寺の縁起は、文徳天皇の皇后である染殿皇后が祈願に訪れたところ清和天皇のご誕生となったという。そして、腹帯がやすらかに解けるようにということで寺号とされたということである。
爾来、皇室と縁の深いお寺となり、最近でもご祈願されているという。
ご本尊の地蔵菩薩坐像は、本堂の奥の厨子に祀られていて、本堂で煙を感知すると、外陣と厨子がある内陣の間の扉が閉まるような対策が取られているそうだ。
そのご本尊は、鎌倉時代の寄木造りで、普通は立っているお地蔵さまだが、右足を曲げ左足を踏み下げた半跏像である。
細身ではあるが180cmを超す堂々とした体躯で、右手に錫杖を、左手に宝珠を持ち、丸々とした頬と慈悲深い伏目で温かみを感じさせてくれる。
堂内には右手に落ち着いたお顔立ちの千手観音、左手に長谷寺式の十一面観音が安置されている。いずれも細身で穏やかな面相、透かし彫りの舟形光背を具備する江戸時代の寄木造。
本堂を出ると先程より多くの参詣者が詰めかけていて、ご祈祷待ちの方たちも並んでいた。この少子化時代でもこれほど多くの出産者がいると思うと心強く思い、かつての自分たちを思い起こした。
(※仏像の画像は、購入した図録より)