【2011年5月3日(火・祝)】湖北・湖南・奈良古刹巡礼の旅#3
湖北「大円寺」の次に向かったのは、有名な国宝:十一面観音立像が安置されている「渡岸寺観音堂(向源寺)」。
新緑が鮮やかな仁王門の前に着いた途端に心は弾んでしまった。2006年秋に東京国立博物館で開催された「特別展 仏像 一木にこめられた祈り」で拝観してはいるものの、やはり本場で拝観出来るとなると違う。
本堂に向かって左手に平成19年に改築されたという収蔵庫がある。中は照明が落とされ、仏像には仄かな灯りが当たっている。収蔵庫の左手に、檜一木造の像高195cmの十一面観音立像が安置されている。
テープの解説が流れている間、間近に尊像を拝する。
ゆるりと腰をひねられ、やや右膝を曲げ、流れるような翻波式の衣を纏い、閉じられた目元がやや下に向き眉目秀麗な顔容、、頭上の化仏は通常の十一面観音よりもかなり大きいもののバランスがよく整っていて、全身に慈悲深さが表れていて、じっと見惚れてしまう。
テープ解説が終わると、世話役の方がお話くださる。この仏像には三つの大きな特徴があるという。
1つ目は、頭上面は通常より1つ少なく、頭上にぐるりと6面、耳横左右に1面づつ、後ろに1面、頂上面、本面と合わせて十一面になっていること。
2つ目は、頂上面が菩薩像になっていて、これで五智如来を表しているということ。
3つ目は、大きな耳飾りをつけていて、密教的な美しさを醸し出していること。
ここでは360度から拝観することが出来るので、頂上仏の大きなところや、左右の耳横の像、後ろの大笑面も、よく見て取ることが出来る。
この仏像のお姿が黒くなっているのは、今から440年前の織田信長と浅井長政の合戦の際に、難を逃れるために土中に埋められたいたので、金箔や着色が剥落してしまったという。
その埋伏の地に石碑が建っている。
(※仏像の写真は購入した図録より)