【2011年4月29日(金・祝)】
「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」を描いた“漫画の神様”手塚治虫の漫画「ブッダ」と仏像が同時展示される特別展「手塚治虫のブッダ展」を観に東京国立博物館に行って来た。
子供の頃にジャングル大帝のレオを描くのが得意だったが、この“釈迦”の生涯(仏伝)を手塚治虫独自の解釈で描いた「ブッダ」は読んだことはない。しかし、2,000万部を超している作品だという。
会場には、手塚ファンと仏像マニアの両方が混じり合い、子供から若い人も中高年もいる珍しい光景であった。
展示内容は、釈迦の誕生から苦悩、結婚、出家、苦行、成道、涅槃という生涯を順に、漫画「ブッダ」の原画と仏像を並べての構成となっている。
(↓こちらはジュニアガイドの中面:なかなか上手く出来ていて分かりやすい)
出展されている仏像は、パキスタンのガンダーラやアフガニスタン、カンボジアの石彫もあった。
国内の仏像の主要なものは次の通り。
1)麻耶夫人と天人像(飛鳥・7世紀:東京国立博物館)
いつもは東博の法隆寺国宝館に展示されている小品で、夫人の右脇から釈迦が生まれている場面。
2)誕生仏立像(鎌倉・13世紀:京都 大報恩寺)
長身で青年のよなキリッとした顔立ちで、天上天下唯我独尊を表す右手を上に
左手を下にそれぞれ人差し指を突き出しているポーズ。
3)菩薩半跏思惟像(飛鳥・7世紀:東京国立博物館)
これも法隆寺国宝館に展示されている金銅仏で、思惟の独特の姿が美しい。
4)出山釈迦立像(南北朝時代・14世紀:奈良国立博物館)
初めて見た仏像。苦行の姿なのでやせ細っているものの、京都の六波羅蜜寺に
ある空也上人像を思わせる。
5)仏坐像(飛鳥・7世紀:東京国立博物館)
飛鳥仏の特徴である左右対称の幾何学的曲線の文様、アーモンド形の目と大
きな手は法隆寺金堂の釈迦如来を彷彿とさせる。
6)伝釈迦仏倚像(飛鳥・7世紀:東京 深大寺)
以前見に行ったことがあるが、ガラスケースの向こうにあって細部までは見て取
ることが出来なかったが、今回の展示では厨子に入り、白鳳期の仏像の特徴で
あるふっくらとした頬、優しい眼差し、筋の通った鼻は興福寺国宝館に展示され
ている仏頭によく似ているが、痩身である。
7)仏涅槃像(鎌倉・13世紀:奈良 岡寺)
日本では珍しい涅槃の仏像。右手を枕に右下に横になる姿はで、穏やかさを感
じる。
最後のパネルに手塚治虫漫画全集(第6部第3章 アジャセ王の微笑)からの言葉が掲示されていた。
生命のみなもとはつながっているのだ
みんな兄弟で平等だ
おぼえておきなさい
そして・・・・・・みんな苦しみや悩みをかかえて生きている
これを「衆生」と呼ぼう
手塚治虫の永遠のテーマである「命の尊さ」が感じられた。