【2010年8月14日(土)】
フィットネスクラブで汗を流した後に、三越前の三井記念美術館に「奈良の古寺と仏像」を観に行く。
7月19日に観に行ってはいたが、展示替えもあり、また大好きな夢違観音を東京で再び拝観しようと出かけた。
室生寺の弥勒堂の釈迦如来坐像に代わって、今回は唐招提寺の如来形立像が新しく展示されたのが、主な展示替えのポイントである。
館内はお盆ということもあり多くの人が観賞に訪れていたが、観賞に不自由を感じるほどの混雑ではなかった。2度目ということもあり、各展示の解説を全て読むことはせずに、気に入った仏像たちを気ままに観させていただいた。
唐招提寺の如来形立像は、通常は唐招提寺の新宝蔵の右隅に展示されている。「唐招提寺のトルソー」と呼ばれている胴体だけがのこった木像である。なだらかな肩、張り出した胸と太腿、少し突き出した腹部、衣文の流れるような纏い方、顔や腕がないために、より一層そういう部分が強調されて見えるのだろうが、何ともしっかりとした力強い意志の力を感じる。
そして、展示室の最後となる部屋に移動すると、真正面に夢違観音がまるでオーラを放っているようにくっきりと鮮やかに見えてくる。
穏やかな笑み、流れるような肢体が目に焼き付いてくる。何度見ても心が洗われるような気持ちになる。
これで東京で見納めだなと思い、出口に歩きかえると、偶然母と出会った。
母が今日ここに午前中来るとは聞いていたが、思いもかけずに、夢違観音の前で出会うのは、観音様の思し召しに違いない、と母が言う。小学校の時分に母にねだって買ってもらった夢違観音のレプリカ、今回の展示会に行くように勧めた自分、一歩違いですれ違いになるところであるから、きっとそうに違いないと、夢違観音に感謝した。