【2010年4月29日(木・祝)】平城遷都1300年祭の旅-春篇Vol.11
壺阪寺での最初思っていた印象は消え去り、多面な顔を持つ親しみやすい寺院の印象となった。
15:30のバスに間に合うまで境内を見て回り、下山となった。壺阪山液から近鉄に乗車して橿原神宮前までは10分程度。車内には平城遷都1300年祭のポスターが貼られていて、各地から平城京へ誘っている。
次なる目的地は、やはり平城遷都1300年祭で秘仏を公開している久米寺である。
真言宗発祥の地として、かつては空海もこの寺に学んだようである。その時あった多宝塔は消失してしまったが、その後江戸時代に京都の仁和寺から移築された多宝塔の初層が公開されるという。
ただし、雨の日は湿気で痛むために公開されない。今日は大丈夫だ。
橿原神宮前から歩くこと数分。今回で2回目なので、道順も覚えた。鬱蒼とした神社の森を過ぎると山門が見えてくる。
山門脇の境内にはずっと柱廊下が巡らされている。どうやら二十五菩薩の練供養があるのだろう。
本堂に行く前に、シックな面持ちとでも表現出来ようか古刹な多宝塔がある。普段は入れない入口から内陣に入れていただく。
中にはおばさんがいて、よく説明をしていただける。多宝塔の内部中央には胎蔵界の大日如来が堂々と安置されている。金剛界の智拳印とはことなり、両手は定印を結んでいる。非常に柔らかい穏やかなお顔立ちで、見事な宝冠を着けられ、全身に金箔もよく残っていて風格を感じさせられる。
その裏には釈迦如来、文殊・普賢の両菩薩が彩色鮮やかに描かれている。おばさんの言うには、「どれも女性のような優しいお顔」である。
堂内の壁には空海、恵果など真言宗の八祖が描かれ、扉の模様なども鮮やかに残っている。
雨にたたられ3度目にして目にした方がいらっしゃるという。今日はラッキーであった。立ち去るのが名残り惜しく思われた。