【2009年2月15日(日)】
昨年11月に京都の奈良に近い古刹の神童寺を訪れた際に、収蔵庫から大阪の「三井寺展」に出品されていた不動明王立像がようやく東京にやって来た。六本木のミッドタウン内にあるサントリー美術館に見に行った。
一昨年の暮れに三井寺に行った。金堂は修理中であったが、広大な寺領を散策することは出来た。小高い山の上にある観音堂にも、また少し離れたフェノロサ所縁の地である法明寺にも足をのばした。最近では五木寛之著の「百寺巡礼」でもそのパートを読んでいたので、展覧会は楽しみにしていた。
数多くの国宝や重文が並び、また展示方法も学芸員の工夫に満ちたものであった。
メインビジュアルになっている国宝の黄不動尊も間近に見ることが出来た。
神童寺から出品されている「白不動明尊」も並んでいた。黄不動尊を模したとされている尊像で、立派な体躯で剥落したとはいえ、白不動を言われる所以の木地に彩色したベースの白色が印象的だった。神童寺の修理中の本堂の屋根に登らせてくれた住職の顔と話が思い出されてきた。
秘仏開扉とある、その中の1点で西国三十三所観音霊場第十四番札所観音堂の本尊、重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」の煌びやかで繊細な造りの宝冠が実に見事であった。
また、ハッとして見入ってしまったのは、鎌倉期の「吉祥天立像」であった。出品像の中でも出色と思われ、一瞥しただけで魅せられてしまった、実に気品のある顔立ちで、仏像というようりは雛人形のお雛様といった感じであった。
熱心な鑑賞者たちがじっくりと見入ってた思いのほか内容の濃い展覧会だった。