【2012年5月6日(日)】湖北・奈良・京都古刹巡りの旅#53
金堂に続いては講堂へ。
何と言っても東寺を代表する空海が構想した密教教学の立体曼陀羅を拝さなければならない。
823年に東寺は嵯峨天皇より空海に与えられ、翌年造東寺別当に就任した空海が、鎮護国家のために密教経典を修講する道場として、講堂の造営を構想する。
825年に講堂諸尊21体の造立が始まり、空海入定後の839年に完成する。
堂内は、五仏、五大菩薩、五大明王に、守護神の梵天・帝釈天と四天王が配された彫像群が展開する。
空海の思想の偉大さを体感させられる立体曼荼羅は、真言密教の真髄を具現化したもので、現実とは違う異空間に、じっと佇んでいると、微かではあるが宇宙に身を置いている自分が感じられる。
中尊の智拳印を結ぶ大日如来は、宝冠を被り真正面を見つめる。光背には37体の化仏がある。
以前は台座に獅子が3体あったというが、その内の1体が今年の国宝重文新指定展に出ていた。
(※大日如来の写真は勧智院に張られていたポスターより)
不動明王は、正面から見ると平板的だが、これは現図曼荼羅という絵を元にして造られたからだと、清泉ラファエル・アカデミアの講座で習った。
また、運慶が1196年~1197年にこれらの諸尊を修理した際に、空海がそれぞれの像内に入れていた仏舎利の入った筒を発見したことで、運慶は一躍有名になり、京都中の人たちが参詣に来たという。
そして、修理後に像内に仏舎利を戻す際は、僧侶が秘密裏に行ったという。
いつまでもじっとこの空間に居たいのはいつものこと。
重い腰を上げて、講堂を後にする。
今日の東寺拝観はここまで。
南大門近くの弘法大師像を参拝し、門からでて、京都駅に向かう。