【2011年7月24日(日)】
東京国立博物館で行われている「空海と密教美術展」のレポート。
「第一章:空海-日本密教の祖」に続く第二章。
(※期間中に展示替えが何度かあるので、このレポートに掲載する展示品が常時展示されているとは限らない。)
第二章:入唐求法-密教受法と唐文化の吸収
804年、空海は密教を求めて留学僧として唐に渡る。その遣唐使船の他の船には既に新仏教界での地位を築きつつあった最澄が乗っていた。
空海と最澄の待遇は全く異なっていたが、空海は西安で当時の密教の第一人者である恵果から密教の奥義を伝授されることとなり、わずか2年で日本に戻ってくる。
その際に持ち帰った数多くの仏画・仏像・経典・法具などの品々を記載した「御請来目録」は、最澄も目を見張るものばかりであった。その写しを最澄が書いた「御請来目録」が展示されている。
最澄の字は、その性格を表すように神経の細やかさが伺われる。
【兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)】
東寺宝物館に安置されている仏像で、以前は平安京の羅城門に安置されていたという都の守護神。
中国風の特異な姿で、鎖を編んだ甲を纏い、腰には獅子のベルトバックル、腕には海老籠手を付けるといった斬新なデザイン。ギョロっとした飛び出すような大きな目で険しく見守る表情が印象的である。
春秋の宝物館での公開では正面からしか見ることが出来ないが、今回は360度から鑑賞できる。
【密教法具】
空海が請来したと伝えられる法具で、金剛盤、五鈷鈴、五鈷杵の3点セット。唐時代の作品。
金剛盤は花形で、表面には法輪と五鈷杵の図像が線刻されている。いずれも銅鋳造の鍍金仕上げで見るからに美しい。
最近は、個人でもこれらの法具をお守りとして購入される方がいると聞く。
【諸尊仏龕(しょそんぶつがん)】
以前に高野山霊宝館で展示されていたのを見た記憶がある。これも空海請来の品。
仏龕とは、仏像と厨子を一材から彫出したもので、この仏龕は白檀で、三分割したものを蝶番で留めている。
内側には如来を中心とした十一尊に加えて、無数ともいえる仏像群が決め細やかに彫刻されているのは、素晴らしいの一言で済まされないほどの感動を覚える。
このコーナーにも他に沢山の展示品があり、一点一点が見応えあるものばかりである。
※写真はいずれも購入した図録より。