【2010年12月31日(金)】恒例年末ゆるり古寺古刹巡りVol.24
雪が舞う大仏殿前の広場を抜けて、大仏殿に入ると、既に正月飾りを終えた堂内に盧舎那仏が坐していられる。やはり巨大な仏像である。華厳経が説く世界観の中心に位置し大宇宙の存在そのものを象徴する仏だけあって、ただ単に大きいだけというのではなく、存在感が威厳と慈悲に満ちているように思われる。
大抵は「あー、大きいな」と上を見上げながら通り過ぎてしまうのだが、この日は、暫く尊顔を拝していた。
江戸時代に造仏された脇侍の虚空蔵菩薩と如意輪観音菩薩は共に煌びやかで目がパッチリと開いていてどことなく可愛らしい。大仏は金銅仏であるが、これらの脇侍は木造である。
現在の大仏殿は1709年に落慶されたものだが、当初の金堂はこれ以上に左右の幅が広かったというから、当事の建築技術の高さは相当なものだったのであろう。外部からは一見二層に見えるが、一層の裳腰付きの建造物であるため、天井までが相当に高い。
国家事業であっとはいえ、大仏も大仏殿も、そこで働く人々の信心がなければ出来なかったのではないだろうか?
大仏殿の北西と北東の隅には四天王のうちの広目天像と多聞天像が安置されている。いずれも江戸時代の再建時の仏像であるが、鎌倉彫刻のような感じである。
最後にご朱印をお願いする。ここでは、くずした字をお書きになり、「華厳と書いてあります。」と説明していただいた。
大仏が華厳経に説く「蓮華蔵世界」の中心的存在であり、世界の存在そのものを象徴する絶対的な仏であることから、このように書かれている。
改めてその存在の尊さを拝して大仏殿を後にした。