【2010年7月19日(月・祝)】
日本橋三越前の近くの三井美術館で開催されている「【特別展】平城遷都1300年記念 奈良の古寺と仏像 曾津八一のうたにのせて」に行って来た。
10時開場のところ、15分前に着くと既に30人程度が並んでいた。
このブログのタイトルにもなっている法隆寺の夢違観音が東京にやってくるとなれば、何をおいても観に行かねばならない。法隆寺に行くことなく、あの夢違観音に接することが出来るのである。
開場して7階の美術館にエレベーターで上がり、会場内へ。落ち着いた展示で、どの出品作品も見やすく展示されている。
■展示室1・2:金銅仏
飛鳥時代から奈良時代後期の比較的小さな金銅仏が展示されている。中でも正暦寺の薬師如来倚像は通常は秘仏であり、訪問したことがないので観たこともなかったが、小さいながらも端正な顔立ちが目に付いた。また、唐招提寺からの押出吉祥天立像は優雅な天衣を羽織り、ぷっくらと可愛らしい顔立ちであった。
■展示室3:曾津八一関係資料
■展示室4:奈良の古寺と仏像Ⅰ(東大寺・西大寺・唐招提寺・薬師寺)
東大寺の五劫思惟阿弥陀如来坐像は、五劫院のそれと同様の作品で、しっかりとした尊顔がアフロヘアに埋もれてしまいそうなところが印象的であった。また、西大寺の塔本四仏像は四体ともきりっとした顔立ちでそれぞれの異なった印を結び、金箔もそれほど落ちていない木心乾漆像で、見応えがあった。
■展示室5:仏教工芸品
法隆寺の金堂の天蓋に飾られている天人と鳳凰も出品されていた。以前、奈良国立博物館で行われた「法隆寺金堂展」で展示されていた天蓋を思い出し、その精巧な造りに見入ってしまった。
■展示室6:曾津八一関係資料
■展示室7:奈良の古寺と仏像Ⅱ(長谷寺、室生寺、当麻寺、橘寺、法隆寺、大安寺、秋篠寺、元興寺)
GWに訪問した室生寺の弥勒堂におわす釈迦如来坐像が、ガラスケース越しに間近に観ることが出来た。翻波式の衣文が目の前でよく分かった。その尊顔も引き締まった良いお顔である。
そして、夢違観音である。白鳳期の仏像の特徴であるややふっくらとしたお顔立ち。童顔であり、永遠の微笑みを湛えているその顔つきは非常に脳裏に残るものである。三面宝冠がそれを更に印象的に見せているようだ。なだらかな肩やぷっくりと張り出したお腹にも幼さが残る。下半身の衣はゆったりとし、裾はやや左右に張り出して優雅な印象を与えている。
奈良の各地の古寺からこれだけの仏像や装具を集めて展示することは滅多にない。展示替えで、唐招提寺のトルソーと呼ばれる如来形立像もやってくる。
観仏三昧の貴重な時間であった。