【2009年11月7日(土)】
上野の森美術館に昼過ぎに行く。「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展には惹かれていた。キャッチには「誰も知らない神秘のチベット。もう一つの密教美術を上野で初公開!」とある。
奈良で仏像を見て来たばかりだが、もう一つのあまり知られていない密教美術というものが、4,000mを越す高地でどんな風に信仰されているのかが気になっていた。
上野の森美術館には予想を超える大勢の人が展覧会を観賞しに来ていた。普段あまり触れることのないチベットでしかも密教美術という好事家しか来ないのかと思いきや、今の時代、何が受けるのか分からない。
会場には数多くの作品が展示され、しかもチベットでは国宝級のものが多くある。日本の仏教美術との相違はあるが、仏教・密教であることは変わりなく、日本だとこうだけどチベットはこうなのね、と素直に見て取れるものもある。十一面観音や千手観音や曼荼羅などは若干の意匠の違い程度である。
逆に日本には少ない抱擁仏などはどこな南方色の濃いものではある。中国よりもよりインド的な顔つきの仏像が多く、タイで観た顔に近しい感じもした。どちらかと言えば、妖艶さがあり愛くるしい相貌や姿態である。
作物が育ちにくい過酷な山間にあって、人々は五体投地をもって篤い信仰を重ねる姿がビデオで流れていた。そういった風土に根付いた仏教が今も精神の救済の糧となっているようだ。